睡眠健康アドバイザーが教える ぐっすり眠れる「寝室の作り方」

仕事で忙しい日々が続くと、テレビや照明をつけっぱなしで眠ってしまう人も多いのではないでしょうか。これは睡眠の質をガタ落ちさせる危険な行為です。仕事や私生活のモチベーションが下がるだけでなく、体や心の病気につながってしまったという例も多いのです。空調から照明、寝るときの服装まで、快眠をサポートする寝室環境の作り方を「ねむり家」店主で睡眠健康アドバイザーでもある大郷卓也氏に教えてもらいました。

寝る前のテレビやスマホ、パソコンは快眠の大敵!

快眠には正しく寝具を選ぶことが第一ですが、寝室の環境も大事なポイントです。寝るときに身のまわりにあるものは、生活習慣にも密接につながってくるからです。

まず、寝るときは快適な状態にしておくのが重要ではありますが、暖房や冷房をかけすぎるのはよくありません。体温の調整がうまくできなくなり、睡眠の質の低下につながります。電気毛布やあんか、湯たんぽの使い過ぎも同様です。

とはいえ、部屋が明るいままだったり、快眠を妨げるものがたくさんあったりする環境だと、やはり心地よい眠りはのぞめません。特に寝室がテレビやスマートフォン、パソコンを見やすい環境なら要注意です。これらのものは視神経を刺激し、快眠を妨げます。

大郷氏のもとに相談にこられた30代の建築業を営む男性は、私生活での離婚を機に寝つきが悪くなり、夜中に何度も起きる睡眠障害が起きるようになりました。毎晩テレビや照明をつけっぱなしで眠るようになり、仕事もうまくいかなくなっていました。

これは快眠のためには最悪の環境です。電気を消して真っ暗な状態にし、寝るときはもちろん寝る前にもテレビを見ないように促し、体に合った寝姿勢や布団の選び方をお伝えしたところ、半年後にはしっかり眠れるようになり、家族を取り戻されて仕事も順調になったそうです。

パジャマに着替えるだけで快眠度がアップする

眠るときは、天然素材のパジャマが理想です。ジャージやパーカーなどの普段着で眠るという人もいるかもしれませんが、快眠という観点ではこれはあまりいいとはいえません。

眠るときは起きているときとは違った服装にしたほうが、「パジャマをきたら眠る」といういわゆる“睡眠儀式”になり、睡眠のリズムをつくるのに役立ちます。

就寝前の時間は、アロマをたくのもよいでしょう。よい香りをかぐと自然と呼吸が深くなり、快眠につながる副交感神経が優位になります。好きな音楽を聴くのも筋肉を緩和させ、リラックス効果があります。

寝室の照明は、やわらかい雰囲気になる間接照明などがおすすめです。電球の色も、パキっとした白よりは暖色がかったもののほうが視神経を刺激せず、快眠につながります。寝具だけでなく寝室にも気を配ることで睡眠の質を上げることができます。是非参考にしてみましょう。

<プロフィール>

「ねむり家」店主/睡眠健康アドバイザー

大郷卓也(おおごうたくや)

1973年3月13日富山県生まれ。中学生の時、原因不明の難病にかかり、長年にわたる闘病生活を経験。睡眠の質を高めることで病を完治させる。東京布団技術学院で布団職人の国家資格を取得して、創業から108年続く家業の寝具店「ねむり家」nemuriyaを継ぎ、眠りに悩む人に寝具の選び方や安眠の方法についての相談を受ける。

その傍ら、2007年に、医師やカウンセラー、スポーツトレーナーなどと「ぐっすり眠る会」を設立。眠りの勉強会や講演会を主催して、心と身体を芯から癒す眠りの知識を広める講演活動をしている。知識だけではなく、肩こりや腰痛を寝ながらにして改善させる、寝返り体操や肩回し体操などの実践の体操の指導、睡眠環境や食べ物、ライフスタイルのアドバイスまでして、知っているようで知らない眠りを伝えている。ぐっすり眠れるように導き、心と体が元気になる講演内容。

また、テレビ局からの取材にも丁寧に応じ、NHKの「サキどり」、フジテレビの「アゲるテレビ」、「とくダネ」など番組を通して、全国に眠りの大切さを啓蒙している。

「ねむり家」ホームページ : http://www.nemuriya.net

著書『100年続く老舗寝具店の店主が教える 最高の眠り方』(総合法令出版)発売中