健康にいきいきと過ごすためには、質のよい睡眠が必要不可欠です。効率的に疲れを取り、日中の仕事のパフォーマンスを上げるためには、ただ眠るだけでなく睡眠の質を高めることが大切なのです。
日々の眠りをもっとも近くでサポートしてくれるのが、布団やまくら、マットレスといった寝具です。これらを正しく選べるかどうかが、睡眠の質を左右します。今回寝具を選ぶときのポイントを「ねむり家」店主で睡眠健康アドバイザーでもある大郷卓也氏に教えてもらいました。
マットレスと敷布団、どちらを選ぶべき?
敷布団は生地の素材だけでなく、中に入っている綿が天然素材かどうかを確認することが大切です。マットレスの場合は科学繊維の場合が多いので、肌に触れる表面部分に薄めの天然素材の綿の入ったものがよいでしょう。ベッドか布団かは、自分の好みで選んでOKです。
特別暑くない夜でも、布団は一晩にコップ一杯以上の汗を吸っています。できれば毎日、外で布団を干すようにしましょう。外で干せない環境の方は、布団乾燥機などでよく乾かしておくと、快適な布団内環境を保つことができます。
あまり知られていませんが、布団にも使用耐用期限があります。商品によって異なりますが、敷布団で3年~5年、マットレスで10年、掛布団で5年~7年が目安です。
使用耐用期限を超えて使い続けると、布団が本来の機能を発揮せず睡眠環境の悪化、ひいては睡眠の質の悪化につながります。見た目には綺麗にみえても、買い替えを検討するようにしましょう。
まくら選びは仰向けのときの「首」に注目しよう
人はひと晩のうちに寝返りを20回するといわれています。そのため寝返りができる姿勢であることが大切です。そのためには、枕の高さと硬さをきちんと選ぶことが必要となります。
枕の硬さは「手のひらで押して沈まない」を基準にしましょう。中にはい草やそばがらなど、汗をよく吸う天然素材が入ったものがおすすめです。
まくらの高さを選ぶときは、仰向けになったときに首の皮膚にしわが出たり、逆に皮膚が突っ張ったりしていないか確認しましょう。こういった状態になっていると、首に不自然な力がかかってしまい、肩こりなどにつながります。
寒い冬でも掛布団の重ねがけはNG!
快眠には、布団の中の温度と湿度が大切です。具体的には、温度が33度、湿度は50パーセントが理想の睡眠環境です。湿度50パーセントというと高いように感じるかもしれませんが、実際には通気性の悪い掛布団なら少し汗をかいただけでも到達してしまう数値です。綿や麻、羊毛などの天然素材の綿の入ったものを選ぶと布団の中の湿度がうまく調整され、快眠につながります。
睡眠中は脳や肉体を休めるために体温が下がります。寝るときは寒くなくても、掛布団をかけないと、夜中に寒さで目が覚めてしまいます。
かといって布団を何枚も重ねるのは、あまりおすすめできません。掛布団を重くすると寝返りができず、快眠を妨げる原因になるからです。また、保温性も見た目ほど期待できません。
大切なのは掛布団をふっくらさせ、温かい空気がたまるようにすることです。枕は固くて敷布団は柔らかい、これが理想のバランスです。ぜひ寝具を選ぶときの参考にしてみましょう。
<プロフィール>
「ねむり家」店主/睡眠健康アドバイザー
大郷卓也(おおごうたくや)
1973年3月13日富山県生まれ。中学生の時、原因不明の難病にかかり、長年にわたる闘病生活を経験。睡眠の質を高めることで病を完治させる。東京布団技術学院で布団職人の国家資格を取得して、創業から108年続く家業の寝具店「ねむり家」nemuriyaを継ぎ、眠りに悩む人に寝具の選び方や安眠の方法についての相談を受ける。
その傍ら、2007年に、医師やカウンセラー、スポーツトレーナーなどと「ぐっすり眠る会」を設立。眠りの勉強会や講演会を主催して、心と身体を芯から癒す眠りの知識を広める講演活動をしている。知識だけではなく、肩こりや腰痛を寝ながらにして改善させる、寝返り体操や肩回し体操などの実践の体操の指導、睡眠環境や食べ物、ライフスタイルのアドバイスまでして、知っているようで知らない眠りを伝えている。ぐっすり眠れるように導き、心と体が元気になる講演内容。
また、テレビ局からの取材にも丁寧に応じ、NHKの「サキどり」、フジテレビの「アゲるテレビ」、「とくダネ」など番組を通して、全国に眠りの大切さを啓蒙している。
「ねむり家」ホームページ : http://www.nemuriya.net 著書『100年続く老舗寝具店の店主が教える 最高の眠り方』(総合法令出版)発売中