ダイエットの定説「よく寝る人はやせやすい」は本当なのか?

ダイエットをしようと思いつつも、日々の仕事に追われてなかなか時間が取れないという人も多いのではないでしょうか。そんな人にオススメなのが「寝るだけダイエット」です。のんびり寝ていると太りやすくなりそうな気がしますが、実は逆です。十分な時間をとって質のよい睡眠をとると、やせやすい体に近づきます。

「よく寝る人はやせやすい」というダイエットの定説のメカニズムと実践方法をご紹介しましょう。

「寝るだけでやせる」は本当なのか?

ロングスリーパー、ショートスリーパーという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 同じ人間なのに短時間しか寝なくても生活できる人がいる一方で、長時間寝ないと眠くて仕事にならないという人もいるというのは不思議なものです。活動時間が少なくなるという点では、ロングスリーパーの人は損をしているような気分になるかもしれません。

しかし、ダイエットという点では、一概に損とも言い切れないのです。睡眠はやせやすい体作りにとても大きく貢献しているからです。

わたしたちの食欲は、レプチンとグレリンというホルモンの影響を強く受けています。レプチンは脂肪細胞から分泌され、食欲を抑制します。一方でグレリンは胃から分泌され、食欲を増進させます。スタンフォード大学の実験によると、睡眠不足気味(睡眠時間5時間)の人はしっかりと寝ている人(睡眠時間8時間)に比べてレプチンの分泌が約15%少なく、グレリンの分泌も約15%多いことが分かっているのです。

本来、眠っている間は副交感神経が優位になり、体も内臓も休息しているべき時間です。この休息の時間が十分に取れていないと体が危機感を持ち、起きている間もフルに力を発揮しなくなります。

昼の生活に支障がないと「俺はショートスリーパーだから」とよく睡眠不足の状態を続けてしまいがちですが、体の中ではダメージが蓄積されているということもありえます。8時間を目安にしっかりと睡眠をとって、健康をキープしましょう。

快眠のための自律神経&ホルモンコントロール術

寝ることがダイエットにいいのは確かですが、ただ寝ればいいというわけではありません。自律神経の仕組みを理解して、質のよい睡眠をとることが大切です。

先述の通り、睡眠中は副交感神経が優位になります。言い換えれば、交感神経が優位な状態で寝ようとすると、スムーズに寝つけなかったり、眠りが浅くて疲れが翌朝に残ってしまったりします。

寝る直前に食事をしてはいけないと言われるのもこのためです。特に糖質の多いものを食べるとインスリンが急激に分泌され、交感神経を刺激します。その後3時間くらいは交感神経優位の状態が続いてしまいますので、なかなかぐっすり眠れないこともあるでしょう。

同じように寝る前にネットサーフィンや読書をするのも、交感神経を刺激しやすい行為です。寝る直前まで仕事や試験勉強に励むのも、質のいい睡眠の妨げになります。少しの時間も惜しいときこそしっかりと睡眠をとったほうが、脳の機能が回復して翌日の仕事が捗るのです。

快眠のための自律神経&ホルモンコントロール術

仕事をしていると、どうしても帰宅が夜遅くなってしまうこともあるでしょう。家に着いたら日付けが変わる直前、などということもあるかもしれません。22時から2時の間は「ゴールデンタイム」とも言われているため、これを守ろうとすると一刻も早く寝なければなりません。

この時間帯は全身のエネルギー代謝の促進を行い、ダイエットにも効果的な成長ホルモンが分泌されやすいことは確かですが、無理に寝ようとすると逆効果です。少し寝る時間が遅くなっても、しっかりと準備を整えてから床に就くようにしましょう。

鍵となるのは「血糖値」と「熟睡度」です。成長ホルモンは血糖値が下がった状態のときに分泌される仕組みになっています。また、熟睡度を高めるのはやはり副交感神経です。これが優位でないと、質のよい睡眠は望めません。

先述の通り、血糖値が下がるのは食後3時間くらいしてからです。22時に帰宅して夜食を食べたなら、あわてて寝ないほうがいいでしょう。夜食後はストレッチをしたり心地よい音楽を聴いたりして、リラックスして過ごすのがオススメです。そうして副交感神経のスイッチが入った頃に寝入ると成長ホルモンが多く分泌され、「寝るだけダイエット」の効果もアップするでしょう。

<取材協力>

日本ダイエット健康協会 理事

古谷 暢基(ふるや まさき)さん

医学博士/医事評論家/健康・美容事業プロヂューサー

一般社団法人 和ハーブ協会理事長/日本ダイエット健康協会 代表理事

日本ルーシーダットン普及連盟代表

予防医学や統合医療、美容関連の団体トップ、幹部を歴任。「和ハーブ」「ダイエット検定」「ルーシーダットン」など数々の健康美容・ソーシャルビジネスをプロデュース。日本人のための健康・美容・医療に関し“正しい知識と意識”の啓発に取り組む。2016年2月には、自著『カルボナーラとペペロンチーノどっちが痩せる?』発売。

著書・監修の書籍・DVDは30を超える。テレビ・雑誌等のメディア出演多数。