
竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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第21回筋育栄養学的!「副菜」の取説:食物繊維を上手に摂るには?(前編)の続き……
野菜にプラス、きのこ・海藻も忘れずに
このような機能を持つことから、毎日野菜をしっかり食べることが、健康の維持・増進、生活習慣病の予防・改善のために必要になってくるわけですが、実は野菜だけではまだ不十分です。
「副菜」に分類される食品は、野菜の他に「海藻・きのこ」があり、これらには野菜だけでは得られにくい健康効果があるからです。冒頭でお伝えした「偏り」のある摂り方とは、野菜のみで海藻・きのこが摂れていないことを言っています。
実は、食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、体内での主な働きは次のように異なります。
●不溶性食物繊維: 腸を刺激し便通を促す、腸内の有害物質を排泄する ●水溶性食物繊維: 血糖値の上昇を緩やかにする、コレステロールの排泄を促す、 腸内細菌の餌となり腸内環境を整える |
健康の維持・増進、生活習慣病の予防・改善のためには、どちらの働きも必要となることから、不溶性と水溶性は2:1のバランスで摂取するのが良いと考えられています。
しかし、一部の野菜を除けば、一般的に野菜に多いのは不溶性の食物繊維です。このため野菜のみの摂取では不溶性の食物繊維に偏り、水溶性の食物繊維が不足しやすくなります。そこで、水溶性の食物繊維が多い海藻の摂取が必要となります。
一方、きのこには、βグルカンやビタミンDといった免疫力を高める成分が豊富です。野菜に加えて、きのこと海藻も一日一回を目安に登場させることで、食物繊維のバランスが整い、免疫力も強化でき健康効果のアップが期待できます。
きのこは冷凍保存が可能です。また、めかぶやもずくのパック、乾燥のわかめ・ひじき・海苔などを常備しておけば、日々の食材として利用しやすいでしょう。
「具沢山の味噌汁」で手軽に副菜摂取!
必要性は分かっていても、忙しい時はどうしても副菜が不足しがちです。一品で十分な量の副菜が気軽に摂れるおすすめメニューは「具沢山の味噌汁」です。
一般的な、具よりも汁の方が多い味噌汁の場合、味噌による塩分の摂りすぎで血圧への影響が気になりますが、野菜・きのこ・海藻をたっぷり入れて汁よりも具の方を多くすれば、塩分の多い汁の摂取は少なくなるうえ、血圧降下作用があるカリウム(ミネラルの一種)の供給源となる一品に変えることができます。忙しい朝の定番メニューにいかがでしょうか。