第18回 筋育栄養学的!「主食」の取説:糖質は悪者なの?(前編)

竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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昨今、「糖質抜き」ダイエットが人気です。「主食」は糖質を多く含むため、主食を一切食べないという選択をする方もいます。

でも「糖質」は本当に悪者なのでしょうか?「主食」は食べない方が良いのでしょうか?今回はみんなが気になるこのテーマを取り上げたいと思います。

まずは糖質の種類を知ろう!


第13回の講義をもう一度振り返ってみましょう。一口に「糖質」といっても、実は、構成糖の数により単糖類(構成糖数:1個)・二糖類(構成糖数:2個)・多糖類(構成糖数:たくさん)などに分類されます。

最近よく目にする「糖類」は単糖類・二糖類を指し、多糖類は含まれません。糖類は食品の甘味の主成分となるもので、ブドウ糖・果糖(単糖類)、砂糖(二糖類)などが該当します。最近では、異性化糖(ブドウ糖果糖液糖など)のような工業的に作られた糖類が飲料や菓子などに多く用いられています。

糖質は、単糖にまで消化(分解)されてから小腸で吸収されるため、構成糖の数が少ない糖類は、吸収が速く血糖値を急激に上げやすいのが特徴です。

一方、多糖類の代表は「主食」となる穀類(米・小麦・トウモロコシなど)や芋類などに多く含まれる「デンプン」です。ブドウ糖が多数結合しているため、糖類と比較すると消化に時間がかかる分、血糖値の上昇も緩やかです。

このように、同じ糖質でも、砂糖(糖類)とデンプン(多糖類)では摂取後の血糖値の上がり方が異なります。糖質は本来、使い勝手の良いエネルギー源ですが、健康上問題となるのは、血糖値を適正範囲以上に上げてしまうような場合です。つまり、摂取量が同量であれば、健康問題を引き起こしやすいのは「デンプン」よりも「糖類」ということになります。

糖質摂取は主食から


糖質は体にとって重要なエネルギー源です。第17回の講義でご紹介したように、エネルギー産生栄養素(糖質・脂質・タンパク質)のバランスを整えるために、一日の摂取エネルギー量のうち50~65%を糖質から摂取することが目標量として設定されています。

また、糖質不足の状態は筋肉が分解されやすい、②血糖値があがると分泌されるインスリンに筋肉づくりを促進する作用がある、などの理由から、筋育も適量の糖質が存在すると効率良く進みます

「糖質抜き」ダイエットで目の敵にされやすい「主食」ですが、前述したとおり、血糖値を上げやすい糖質は「糖類」の方で、主食に含まれる「デンプン」ではありません。主食は必要な糖質を摂取するのに適した形と考えられます。

勿論、デンプンでも過剰に摂取すれば不健康な血糖値上昇を招くため、自身の活動量に見合う量まで減らす必要はありますが、少なくとも、一日のスタートとなる朝食や、筋トレ前後の食事などでは主食を摂ることがすすめられます。

主食と食物繊維の深い関係


食物繊維は健康の維持、生活習慣病の予防・改善に必須な栄養素ですが、その供給源として貢献しているのが、実は主食です。

例えば、白米は100gあたりの食物繊維含量は0.3gと少ないですが、一日に食べる量が他の食品よりも多いため、大きな摂取源となっていることが報告されています。昔に比べて現代の日本人の食物繊維摂取量が激減したのも、主食の摂取量減少が要因です。

主食を抜くダイエットを行うと食物繊維不足がさらに加速することが心配されるため、やはり適量の主食は必要と考えられます。

主食と上手に付き合うためには…


以前よりも主食の量を減らす場合は必ず、主食を食物繊維含有率が高い精製度の低いものに切り替える(例:食物繊維含有率:白米0.3%→玄米1.4%、押麦4.2%)、副菜の摂取量を増やすなどして、食物繊維の確保に努めましょう。

食物繊維(特に水溶性食物繊維)は血糖値の上昇も緩やかにするため、健康的な糖質摂取のためにも①と②は必須です。副菜の中でも水溶性食物繊維が多いのは海藻類です。現代人は不足しがちなので特に気を付けましょう。

最近では、おかず(副菜と主菜)を先に食べ、主食を最後に食べる「カーボラスト」という食べ方に注目が集まっています。血糖値の上昇を緩やかにする効果が高いだけではなく、主食の食べ過ぎも防げます。

主食と上手に付き合うために、①と②、そしてカーボラスト、この3つをぜひ日常に取り入れ習慣にしてみましょう。