第15回 一日に必要なエネルギー量を考えてみよう!

竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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体重管理に日々お悩みの方、自身の「一日に必要なエネルギー量(カロリー)」はご存知ですか?

年齢や性別ごとに目安量が紹介されている資料もありますが、必要エネルギー量は同じ年齢や性別であっても個々に違うものなのです。その理由は、本来「必要エネルギー量= ??エネルギー量」だから。

さて、「??」に入るものは何でしょうか?ここを知ると、体重管理のコツが理解できますよ。

体重とエネルギー収支バランスの関係


体重はどうして増減するのでしょうか?一見、難しいように思えるこの問題も、原理は非常にシンプルです。

基本的に体重はエネルギー収支バランスによって変化すると考えられます。エネルギー収支バランスとは、食事による摂取エネルギー量(入ってくるカロリー)活動や代謝による消費エネルギー量(出ていくカロリー)のバランスのことです。

体重とエネルギー収支バランスの関係
① 摂取エネルギー量 = 消費エネルギー量 → 体重維持
② 摂取エネルギー量 > 消費エネルギー量 → 体重増加
③ 摂取エネルギー量 < 消費エネルギー量 → 体重減少

このように、摂取と消費のエネルギー収支が釣り合っていれば(①の状態)、余分なものがたまったり(体重増加:②の状態)、足りない分が消耗されたり(体重減少:③の状態)しないため理論的には体重に変化は起きないものと考えられます。

肥満や低体重が様々な病気の原因となるため、今の体重が健康的な数値の方であれば、その体重を変化させないことが健康維持につながりますしたがって、本来「必要エネルギー量=消費エネルギー量」ということになるので、冒頭のクイズの「??」に入る答えは「消費(エネルギー量)」となります。

消費エネルギー量よりもエネルギーを多く摂取して体重が増加したなら、消費エネルギー量よりも少なく摂取すれば体重は減少するというわけです。

つまり、エネルギー収支バランスは「消費エネルギー量」を基本に考えることになります。しかし、自分の消費エネルギー量を知っているという方は稀でしょう。

自分の消費エネルギー量(=必要エネルギー量)を知ろう!


消費エネルギー量は、活動量のほか、体形(体組成)などの影響も大きく受けるため、個々に異なります。このため、自分の正確な数値を知るためには、特殊な機器が必要な測定を行うこととなりますが、高価でもあり誰もができるわけではありません。

そこで簡易的に推定値を算出する方法がいくつかあるので、その一つをご紹介しましょう。

推定消費エネルギー量算出法

① まずは推定基礎代謝量を以下の式で算出
(国立健康・栄養研究所の式より、計算しやすいように一部改変)
男性:推定基礎代謝量=(0.048×W+0.023×Hー0.014×A―0.42)×239
女性:推定基礎代謝量=(0.048×W+0.023×Hー0.014×A―0.97)×239 
W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(歳)

② 推定消費エネルギー量を以下の式で算出
推定消費エネルギー量=推定基礎代謝量(①の値)×身体活動レベル*
*身体活動レベルは以下の3つから該当する値を選択
・低い:1.5(一日の大部分を座った状態で過ごす人)
・普通:1.75(家事や買い物、通勤、軽いスポーツなどで体を動かす機会のある人)
・高い:2(移動や立位の多い仕事についている人。活発な運動習慣のある人)

少々大変な計算になりますが、複数ある基礎代謝量の推定式の中で、上記の式は日本人において広い年齢範囲(18~79歳)で比較的に高い妥当性が確認されています。

ちなみに、基礎代謝量とは、覚醒状態で生命活動を維持するために必要となる最小限のエネルギー量です。この基礎代謝量に、活動量を反映した「身体活動レベル」の数値をかけることで、一日に消費するエネルギー量を推定することができます。

こちらで算出された推定消費エネルギー量が、今の体重を維持するために必要なエネルギー量となります。実測値ではないためあくまでも推定値となりますが、自身の摂取エネルギー量を考える際の参考値として活用できます。

減量する際は、摂取エネルギー量をこの消費エネルギー量よりも少なく設定すればよいわけですが、①で算出した推定基礎代謝量よりも下回ると生命の維持に支障が出る危険性があるので注意しましょう。

無理なく続けるためには、「減らす摂取エネルギー量=消費エネルギー量の5%(~10%)分」くらいとするのを一つの目安と考えましょう。

この時、体への負担が大きい糖類第13回「糖質:エネルギー源」を多く含む菓子や飲料からまず減らしていくのがおすすめです。と同時に、日々の生活の中で消費エネルギー量を増やすことも意識すれば、健康的な減量の成功につながっていくはずです。