第6回「筋育栄養学」の概要紹介(後編)

竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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「筋育栄養学」の概要紹介 (前編)の続き……

健康づくりのための食事で重要なことは?


さて、ここで重要な点は、その「筋肉づくりのための食事」は「健康づくりのための食事」にもなっているのか、という観点です。

私たち社会連携講座でお伝えしたい「筋育栄養学」は、筋肉づくりと健康づくりの両方を実現するための栄養学です(図1)。

筋肉を増やすことはできても、長期的にみると健康を害してしまうような食事もあるため、気を付けなくてはいけません。

若い世代では、自身の健康にまだあまり関心がない方も多いかもしれませんが、筋肉づくりの効果を最大限に引き出すには、健康な心身が土台にあるべきなので、やはり健康をベースに考えた食事法で筋肉づくりに取り組むのがおすすめです。

では、健康づくりの観点で食事を考える時、最も重要となるのは何かといえば、それは「バランス」だと考えられます。

バランスの乱れ(食品だけではなく調理法なども含めて)によって栄養素の過不足が生じ、結局はそれが様々な健康障害をもたらすことになるからです。

つまり、これから皆さんにご紹介していきたい「筋育栄養学」とは、この「バランス」を重視した食事をベースにして筋肉づくりを考えるものとなります。

したがって、例えば、筋肉へのタンパク質補給のために肉「だけ」に偏った食事や、食事は適当でサプリメント「だけ」に頼る方法などはNGとなります。

「バランスよく食べましょう」の大切さ


「バランスよく食べましょう」とは昔からよく言われているため、今更あまり重要視されない傾向にありますが、日進月歩の学問である栄養学において日々アップデートされる様々な研究報告(ひと昔前は良いとされていた内容でも、研究が進歩することでそのリスクが報告されることもしばしば)を目にするたびに、実はこれこそが究極の食事法になり得る唯一のものに感じられます。

一方、これまで何千人もの食事内容を見てきていますが、バランスよく食べることがしっかりできている人はとても少ないのが現状です。

したがって、栄養相談ではその方に合った形で、このバランスの乱れを「整える」方法をご提案していくわけですが、これを実践することで多くの方が健康状態を改善できていきます。

しかし、バランスの乱れを整えるには、まず本来あるべき「正しい食事の形」を知る必要があります。これを知らなければ、そもそも自身のバランスの乱れに気づくことすらできないからです。

実は「正しい食事の形」を知ることこそが「健康づくりのための栄養学」におけるファーストステップであり、「筋育栄養学」の重要な土台となっています。そこで、次回はまずこの「正しい食事の形」についてご紹介していきましょう。