第11回 筋育栄養学的!果物のすすめ

竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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「正しい食事の形」をテーマに、第8回第9回の講座の中で、食事は「主食・主菜・副菜」が揃った形を基本とする、とお伝えしてきました。「主食・主菜・副菜」が揃った食事を毎食摂れていれば、食事の「3つの役割」が果たせるようになるからです。

でも実は、これにさらにプラスしてほしい食品があります。「主食・主菜・副菜」の分類に入っていない「果物」と「乳製品」です。特に日本人は、世界的に見て果物の摂取量が少ないため意識して摂取してほしいところです。

今回はまず、果物が筋育栄養学的にどんな役割を果すかについてご紹介しましょう。

日本における果物の摂取状況


健康の維持・増進のために、果物は一日にどのくらい摂取したらよいかご存知ですか?

我が国ではその目標量を一日200g以上としています。しかし日本人の平均摂取量は100gほどでわずか半分、世界平均もアジア平均も大きく下回る極めて低い水準です。特に20~40歳代の若い世代では、一日の摂取量が0gという人が半数以上も占めており、果物不足が一番目立つ20代男性では、まったく食べない人の割合が70%近くにも上ることが報告されています(令和元年国民健康・栄養調査より)。

私が実際に行っている大学生の食事調査でも、野菜以上に果物の摂取量の少なさを痛感します。皆さんはいかがでしょうか?下記に果物200gの目安量を紹介しますので、ご自身の摂取量と比較してみてください。

果物200gの目安
みかん2個、りんご1個、バナナ2本、キウイフルーツ2個、グレープフルーツ1個、ぶどう1房 

世界的には、健康の維持・増進における果物の必要性は野菜と同レベルで認識されていますが、日本においては果物の必要性への認識がまだ低く、これが我が国の摂取量を低水準のままにしている一因と考えられます。

果物の役割(野菜と違う点は?)


では果物の役割とは何でしょう?

「食事の3つの役割」で言えば、「コンディショニング」「エネルギー源」です。「コンディショニング」では特に、肥満や高血圧等をはじめとした生活習慣病の予防効果が期待できます。

よく、野菜が十分にとれていれば果物はとらなくてもよいのでは、と質問をいただくことがありますが、野菜と比較して果物には、①生で食べる場合が多い→加熱調理などによる栄養素の損失が少ない②カラフルなものが多い→抗酸化力が高い色素成分の主要な摂取源となるといったメリットがあります。

また、果物の甘味はエネルギー源になります。このため、果物を食べると太るというイメージを持たれている方もおり、これが果物を敬遠する理由の一つかもしれません。しかし、水分量が多い果物のエネルギー量は30~70kcal/100g程度で、200g摂取しても100kcal前後におさまります。

実は、満腹感は摂取したエネルギー量ではなく食品のボリューム(体積)と関係があるため、ボリュームを増やす要因となる水分量や食物繊維量が多い果物はそのカロリーの低さとは裏腹に食べた時の満足感が非常に高いのも大きなメリットです。

果物の上手な取り入れ方


筋肉づくりと果物は一見、関係のないように思えますが、土台となる健康の維持・増進のために果物は欠かせません。また、摂取するタイミングを工夫することで、筋肉づくりにも直接良い効果を及ぼすことが期待できます。

果物のおすすめ摂取タイミングを下記にご紹介するので参考にしてみてください。

果物のおすすめ摂取タイミングと期待される効果

その1)昼食と夕食の間の間食に
間食禁止はストレスが多く夕食のドカ食いにつながりやすい。高カロリー(かつ体へ悪影響を及ぼす成分が豊富)な菓子類などの代わりに、低カロリーで栄養価も満足感も高い果物を間食にすることで、肥満など生活習慣病の予防に効果的。

その2)食事の最初に
1回100g程度を目安に。満足感の高い果物を食事の最初に食べることで、食事の摂取量を減らせる効果が期待できる。ご飯を食べ過ぎてしまう人におすすめ。

その3)朝食時に
起床時は脱水気味。水分とエネルギー源を同時に補える果物は、一日の始まりの食事に◎。朝食を欠食しやすい人は、まずは果物摂取からスタートを。

その4)トレーニング前後に
トレーニング1時間前を目安に摂取すれば、トレーニング時のエネルギー補給に。トレーニング直後に摂取すれば消耗したエネルギー源を速やかに補給でき疲労回復を促す。質の良いトレーニングを継続するのに効果的。

ただし、シロップ漬けの缶詰、食物繊維が取り除かれたジュース、水分が取り除かれたドライフルーツの場合は、前述した果物のメリットに該当しなくなるため注意してください。

日本人が今まで意識していなかった果物。これを日常生活に上手に取り入れられれば、健康づくり・筋肉づくりを一歩進めることにつながるはずです。

*注:重度な腎障害がある場合は、一日の果物摂取量に注意が必要となるため、医師や管理栄養士等の指示に従ってください。