第12回 筋育栄養学的!乳製品の活用法

竹並恵里 博士
東京大学社会連携講座 特任研究員
博士(学術)
管理栄養士
健康運動指導士
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第11回講座では、筋育栄養学的に考察した果物の役割についてご紹介しました。果物と同様に、「主食・主菜・副菜」の分類に入らず、でも毎日摂ることが推奨されている食品は他に乳製品があります。

乳製品はその栄養学的特徴から、筋肉づくりに直接的な効果が期待できる食品ですが、「いつ」「何を」とるかまで考えると効果をより大きなものにできるかもしれません。

今回はそんな乳製品の筋育栄養学的活用法をご紹介しましょう。

乳製品の役割


乳製品とは、一般的に牛乳を加工して作られるものの総称でヨーグルト・チーズ・クリーム・バターなどがありますが、チーズ・クリーム・バターはその脂肪含有率の高さから(それぞれ順に20~30%、約45%、約80%)摂取に対する考え方が異なるため、今回の講座で取り上げる乳製品は、牛乳とヨーグルト((脂肪含有率は順に約4%、約3%)に限定したいと思います。

「食事の3つの役割」で言えば、乳製品の役割は「体づくり」となります。乳製品にはカルシウムが豊富なため、骨づくりのために普段から摂取を意識されているという方もいらっしゃるかと思いますが、タンパク質の補給源にもなるため実は筋肉づくりにも有効です。

コップ1杯(200ml)で卵1個分と同量のタンパク質(約6g)を摂ることができるので(ヨーグルトも同様)、食事を補う目的で、一日1回を目安に間食として取り入れるのがおすすめです。

いつ、何をとれば筋育により効果的?


間食に適した牛乳やヨーグルトですが、筋育をより効果的に進めるために最もおすすめの摂取タイミングは筋トレ後となります。

詳しい内容はまた別の講座で紹介しますが、筋トレ後は筋肉の合成感度が高まるため、このタイミングで筋肉の材料となるタンパク質を摂取することは、筋育における有効手段の一つとなります。

食事で主菜からしっかり摂取できれば良いですが、タイミングを合わせるのが難しい場合は手軽に摂れる牛乳を利用してみましょう。その際、無脂肪牛乳よりも普通牛乳の方が、筋肉のタンパク質合成効果が高いことが示唆されています。

近年、乳脂肪分のカロリーや、乳脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸の「過剰摂取」により悪玉コレステロールが増加することを気にして、無脂肪タイプを選択される方が増えています。それも良い選択だと思いますが(特に乳製品を毎日たくさん摂取する方にとっては)、筋トレ後に摂取する場合は、普通牛乳の方が筋肉づくりへの効果は期待できるかもしれません(ただし、この点に関して結論付けるには更なる検討がまだ必要です)。

果物との組み合わせが◎


無脂肪牛乳よりも普通牛乳の方で高い効果が観察された理由として、牛乳中の飽和脂肪酸の関与が考えられています。意外な栄養素が意外な形で筋肉づくりに関与している可能性があるのです。

昨今、栄養素を単離したサプリメントが人気ですが、食品で摂取する意義の一つは、このように栄養素の相乗作用が期待できるところにあります。この相乗作用を期待して、牛乳・ヨーグルトと組み合わせたい食品が果物です。

第11回講座で紹介したように、果物の役割は「エネルギー源」と「コンディショニング」です。したがって「乳製品+果物」で「食品の3つの役割」が揃うためとても相性が良い組み合わせとなります。

新鮮な果物をカットして加えたフルーツヨーグルトなどは、忙しい朝の朝食代わりとして、またヘルシーな間食としてもぴったりです。果物単品の場合よりも、さらにバランスが整い満足感も高まります

さらに、前述した筋トレ後にも、筋肉の材料であるタンパク質とともに、トレーニングで消耗したエネルギー源の補給をすることでより筋育効果があがるため、おすすめメニューとなります。特に発酵食品であるヨーグルトの場合は、果物(に含まれる食物繊維やオリゴ糖)との組み合わせで、整腸作用まで高まることが期待できます。栄養素の相乗作用は面白いですね。

体質的に乳製品が合わない方は無理して摂る必要はないかと思いますが(その場合は他の食品で乳製品から摂れる栄養素を補えば問題ありません)、そうでない方は、一日の適量の中で、摂るタイミングや組み合わせを考えて乳製品を活用してみてはいかがでしょうか。

*ヨーグルトを摂取する時は、加糖タイプではなくプレーンタイプがおすすめです。果物を組み合わせることで、プレーンヨーグルトでも砂糖なしで十分に美味しくいただけますよ。